恋するマジックアワー(仮)


「大丈夫です」今のところはって、あたしが言う前に愛さんは付け加える。


「恋愛的な意味で」

「っ?! ゴホゴホっ!」


唐揚げっ!唐揚げへんなとこ入った!
必死にお水に手を伸ばす。

――ガシャン!
と、キッチンの方が騒がしい。

水を飲み干しながら見ると、カウンターの向こう側でしゃがんでいた洸さんが顔を出したところだった。





目が合う。

でも、それはすぐに逸らされてしまった。
今度は水でむせそうだ。


「あらやだ。 既成事実(きせいじじつ)?」

「んなわけあるか。 いいから帰ってきた理由をちゃんと説明しろよ」


え、え、え……ええ?
なにそれ。

思わず洸さんをジッと見つめる。


だって、洸さん……その顔……。


「あ、そうよね。ふたりにはちゃんと言わなくちゃ。 
あのね、あたし子供産んだのよ」


…………。
………………。


………………………。



「ええっ!?」
「はあっ!!?」




愛さんの嵐のような告白に、
あたしと洸さんの声が響いたのは、言うまでもない。

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