恋するマジックアワー
「なんでって、毎年一緒に行ってたんじゃないの?」
「……」
しまった。
ちょっとトゲがあったかな。
留美子が何も言わなくなったことに、少し気まずい気がしてわたしはこの空気を打破するために、ガタッと立ち上がった。
「留美子、何時に集合?」
「えっ」
スマホを持って教室の出入り口に向かいながら、留美子を振り返った。
とたんに花が咲いたように笑顔になる留美子。
「じゃあ夕方の6時にお迎え行くよ!」
「6時ね……」
コクリと頷いて、ギョッとした。
むむ、迎えっ!!?
「……無理!やっぱ、いいっ」
「えっ」
青い顔をしてブルブルと首を振ると、しゅーんと肩を落とす留美子。
「そ、そうじゃなくて、迎えに来なくてもいいって事!」
「でも、神社まで道わかる?」
「じゃ、じゃあどっか近くで集合しよ」
そう言うと、「だね」って可愛らしい笑顔を浮かべた留美子は近くのコンビニを指定した。