恋するマジックアワー
「洸さんって、もしかして、さっきの……」
さらに大きな目を見開いた留美子。
それに我に返ると、わたしは持っていたレンゲを大げさに振った。
「そ、それも違うッ!全然違う人!」
何言ってんだわたし!
冗談でも、出したらダメな人でしょ。
同居人だし、先生だし……。
いい加減だし。
…………。
「……あーもうやめやめッ。わたしのことはいいからさ。それより留美子はどうなの?」
「え、わたし?」
キョトンと首を傾げた留美子。
大きな瞳が、パチパチと瞬いた。
「牧野と付き合う事になったんでしょ?ほんと焦れったいんだから」
少なくなったお粥を一気に口に放り込み、添えられていたお茶も飲み干した。
「よかったね。幸せになってよ?」
「海ちゃん……」
にっこりほほ笑むと、なぜか留美子は少し淋しそうに笑った。