恋するマジックアワー
はあ……。
なんかまた熱が上がったかも。
あれからすぐに留美子が帰っていき、わたしは布団に倒れ込んだ。
やっぱり体中が痛い。
留美子がもっと嫌な子なら……。
何度思った事か。
それにしても……。
ああ、わたしなんで洸さんの名前なんか出しちゃったんだろ。
好きな人なんかいない。
それだけでよかったのに。
もぉバカバカ。
わたしのバカーッ
「……」
寝よう。
寝て忘れよう。
ガバッと頭まで布団をかぶると、わたしはギュッと目を閉じた。
すぐに眠気に襲われて、一気に深く意識は沈んでいく。
その時かな
幸せそうに笑う、牧野と留美子の顔が見えた。
『よかった』
昨日よりも、ずっと心が軽い。
どうしてだろう
きっとわたし、大丈夫。
どうしてだろう
そう思えるのは
その時、わたしを体をフワリと包んだ
優しくて甘い香りと、あたたかさ。
目の前には白いワイシャツと、ダークブルー。
これって
これって
……洸さん?
洸さんだったら、いいな……。
大人で、だけど時々子供みたな悪戯な笑顔を見せる人。
恋の燃えるような激情とは違う、あったかいこの気持ち。
やさしいきもち。
もう大丈夫だよ、留美子。
わたしの心配は、しないで……。