恋するマジックアワー
ちょっとだけ開けて、中を覗き込む。
開け放たれたカーテンが、フワリフワリと風に遊ばれているのを見て、疑問が確信に変わる。
やっぱり、洸さんはここにいるんだ。
わたしはキョロキョロと周りを見渡して、誰もいないことを確認すると、そっとその隙間から美術室に滑り込んだ。
音をたてないように、扉を閉めて改めて洸さんの姿を探す。
「……」
あれ?
いったん教室を見渡して、気づく。
どこをどう見渡しても、洸さんの姿が見当たらない。
普通の教室とは違って多少広くはあるものの、気配くらいは感じるはずだ。
そう思った時、不意にある場所が気になった。
それは、美術室の隣。
美術準備室。
入り口が、開いてる……。
なぜか勝手に高鳴る胸をキュッと抑えると、シンと静まり返った教室を進んで、ギィと扉に触れた。
洸さん、いますか~?