恋するマジックアワー
留美子と牧野の告白シーンが、まるで昨日の事のように鮮明に頭のスクリーンに蘇る。
「ごめん留美子、だけど盗み聞きするつもりなかったんだよ?」
「海ちゃん……やっぱりあれを聞いてたんだ。だから……、だから帰っちゃったの?ひとりで」
「……」
留美子の真剣な眼差し。
お願い留美子、そんな顔しないで?
わたしは本当に二人が一緒になれて、心から嬉しいと思うんだよ?
揺れるその視線から、ふと顔を背け、目に入ったのはあの美術室。
すると洸さんがそこにいて、スケッチブックの前で仁王立ちしているみたいだった。
さっきは見られなかったけど、何を描いてるのかいつか見せてくれるかな……。
わたしが卒業するまでには、見たいな。
「海ちゃん、ごめんね?」
見ると、留美子はそのバラ色の頬にポロポロと涙を零していた。
「え、なに謝ってんの?」
「嫌な想いしたでしょ? ごめん、ごめんね……」
「あ、ちょ……留美子?」
溢れる涙を覆い隠すように、留美子は席を立ち教室を飛び出して行ってしまった。
「留美子っ」
ガタッ!