恋するマジックアワー
「海ちゃんは、好きなひとに対して、わかりやすいよね」
「え?」
真っ白な雲が流れるのを、ぼんやりと目で追っていた留美子が、まるで独り言みたいに言った。
ギョッとして目を向くと、いつもと何も変わらない笑顔の留美子がわたしの顔を覗き込む。
「だって海ちゃん、翔にだけツンツンしてた」
「なにそれ」
ツンツンって、わたし普通だし。
グッと目を細めたわたしを見て、留美子はクスクスと肩を揺らす。
「わたしが翔のこと好きだって思ってたから、わざと仲良くしないようにしてたでしょ?ほんとーは素直なのに、素直じゃないフリしてた」
「変な事言わないで」
「……わたしね? 海ちゃんにはぜったいに幸せになって欲しい。 海ちゃんがしあわせになるためになにかしたいんだ」
「……留美子」
朗らかに笑う留美子に言い返せずにいると、留美子は「でもなぁ」と腕を組んで難しい顔をした。
「どうやら、海ちゃんは別のルートに入ったようです」
「へ?」
べ、別のるーと?