はやく俺を、好きになれ。
真優と付き合ってから漸く3年が経った。
記念日に俺達は予め予約しておいたレストランに来ている。
夜景が一望出来るビルティングに真優は大はしゃぎ。
ここを親父に聞いといて良かったと心底思った。随分前にお袋と結婚記念日に来たらしい。
そう言えば3年前、親父とお袋に真優と付き合う事になったと報告すれば無理やり車に乗せられそうになったっけ。あの攻防戦はヤバかった。俺が誘拐されそうだと誤解した知らねえ爺さんが通報して警察沙汰に発展した。
その数分前には、診療所に行くか大学病院の精神科に行くかで喧嘩してた。どっちも行かねえよ。失礼すぎる親だ。俺の頭がとうとうバグったのかと勘違いしやがる。
俺だって現実と妄想の区別くらいついてるっつうの。だが生憎これは夢じゃねえんだよ。