はやく俺を、好きになれ。
既にウエイトレスには頼んだ。
後は真優が気づくのに待つだけ。
だがその前に少し、ムードに欠ける。
ロマンチックさの欠片もねえじゃねえか、と食事に夢中の真優を見て顔を顰めた。
「陽?どうしたの?気難しい顔しちゃって。これ凄く美味しいよ?」
「……いや、」
適当に誤魔化してカモフラージュに赤ワインを手にとる。これじゃ靡くものも靡かねえ。必死に考えを巡らす。
今日、俺は真優にプロポーズしようとしていた。