はやく俺を、好きになれ。
"性悪双子その1"を威嚇していると真優が俺の袖を詰まんでクイクイッと引っ張ってきた。



「陽行こう?」

「チッ。………ああ」



綾に舌打ちしてから頷いた。苛立つ俺と飄々とする綾に不思議そうに真優は小首を傾げる。お前には分からなくていい。こんな氷点下の争いに真優は入ってこなくていい。それには綾も一緒だったのか争闘は一時中断した。



「またね、真優ちゃん」

「うん!ちゃんとお姉さんに向き合ってあげてね?」

「ん〜。真優ちゃんがデートしてくれるなら―――――陽、痛いんだけど」

「そうか。ならこのまま楽にしてやるよ」



店員と向き合うどころか真優を口説く"性悪双子その2"の首に腕を回してそのまま締め付けた。
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