はやく俺を、好きになれ。
「あんな可愛い幼なじみがいたら他の子に目移りしないのも頷けるかな。僕も欲しいなよ」

「テメェには綾が居るだろ」

「あれは双子じゃないか。僕が欲しいのは従順な幼なじみだよ。


あ。でも陽の場合従順なのは陽の方か。ほぼパシりだからね」

「……」



このとき。


何故か言い知れぬ敗北感を感じた。何故なら言い返せなかったからだ。パシり……そうかもしれねえ。俺は真優のパシりだ。


昨日も電話で呼び出されて自分の母さんに頼まれた買い物を頼まれた。真優曰くクーラーで涼むことが忙しかったらしい。それを承諾してしまう俺は一体何なんだ。



「陽、一回主導権握ってみたら?」

「は?」



急に葉が訳のわからないことを言い出して間抜け面を晒す。
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