はやく俺を、好きになれ。
耳を抑えたまま通話が途絶えた携帯を呆然と見つめる。


嫌い………真優に嫌いだと言われてしまった。


この悲惨な状況に愕然とし生気が失われていく。

















「あは。何か面白い展開になってきたね―――冗談だからそんなに睨まないでよ」



面白おかしく笑う葉を睨む。人の不幸を笑うんじゃねえよ。


テメエのせいだ。好かれるどころか好感度マイナスじゃねえか。何がギャップだこの野郎。



「“僕に接する”ってのが不味かったね。綾に対する接し方ならまだ良かったんじゃない?」

「どっちもどっちだろ」



性悪双子の接し方なんて然程変わらねえ。それにしても俺は日頃から双子に対してこんなに冷たく当たっていたのか。



「全くだよね。陽ってば横暴すぎるよ。これから僕達双子を労るようにしてくれよ?」

「うっせえよ」



―……これだ。この切り返しだ。これを葉ならまだしも真優にしてしまった。


誰かドッキリのプラカードを見せろ。笑ってドッキリだと言ってくれ。これが現実だと信じられねえ。種を撒いたのは自分の癖に、なんてザマだ。


このまま夏眠して冬まで眠りにつきてえ。真優の怒りが収まったころに起こしてくれ…。
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