ウソつき王子
神谷君の顔が真っ赤になる。

いつもニコニコして女の子と接してる神谷君でも、照れることってあるんだね。

「意外~」

私がそう言うと、神谷君はちょっと怖い顔になった。

そして、神谷君の顔が近づいてくる。
今度は逃げたりしない。

唇から伝わる神谷君のぬくもり。

もう苦しさなんて感じない。

唇が離れる。

もっと長くキスしていたい。
私にそんな思いをさせるの、神谷君しかいないよ。

ああ、神谷君がモテるの、わかる気がする。

コロコロ変わる表情。
たまに(?)優しいところ。
男の子らしい、低く甘い声。

なんだかいとおしい。

アレレ…?
なんか私、神谷君のこと好きみたいじゃん!!

いやいや、それはないでしょ。

神谷君なんて私の手には届かない存在。
仮にこのまま付き合ったとしても、神谷君は私のこと好きじゃない。
今は仕方なく付き合ってるだけだもん。

近いはずなのに、届かない。
ビミョーな距離。

私は神谷君の本当の彼女にはなれないのかな?

だったら神谷君と離れたい。

このまま一緒にいたら、私の頭はどうにかなっちゃいそう。

「…ねぇ神谷君、もう終わりにしよう、こういうの。
バラさないから心配しないで。
もう神谷君とはいっさい関わらないから…」
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