だから、恋なんて。
それにしてもここの食堂ってほんとに患者さんと同じメニューなんだろうか。
師長はそう言ってたけど、どう考えても患者さんがこんなに麺類ばかりでいいわけがない。
栄養面とか完全に無視している気がする。
必死でそんなことを考えて、一瞬だけ聞こえたその声を気のせいだったと思いたい。
「一緒にた~べよっ」
軽快な足取りでトレイを持ったまま私の向かいにやってきて、返事も待たずに勝手に座るチャラ医者。
「美咲さん、いつもこの時間?じゃあ頑張って、この時間には外来終わらすようにしようかな~」
勝手に頑張るようすのチャラ医者は、「いただきます」と手を合わせてから食べだす。
一切口を利くつもりがないので、あからさまに嫌そうな顔をして目の前の男を無視する。
「ICUにも顔出したいんだけどさ、なんだか僕の外来って人気があるみたいで、次々に患者さんが来て終わらないんだよね。あ、美咲さんが外来で僕の横にいてくれるなら、逆にゆっくりするけどね~」