だから、恋なんて。
大声を出すべきか、このまま受け入れるべきか、一瞬のうちに考えていると。
「その顔、ソソルね」
余裕たっぷりにクスッと笑って、勿体付けるようにゆったりとした動作で唇を奪う。
まるで、傍にいるギャラリーに見せつけるように。
ゆっくりと、味わうように、食むように。
そして、頬に添えられていた手が首筋をつたい、白衣越しの胸に這わされた瞬間、思わず声を出していた。
「ダメっ!」
抗うように伸ばした両腕は、空しいくらい抵抗がない。
…あれ?
固く閉じていた瞼をうっすら開けてみるけれど、そこは見慣れた我が家の天井で。
白に埋め尽くされたナースステーションでもなんでもない。