だから、恋なんて。
まぁ、そんなことはどうでもいいんだけど、とにかくこの青見亮介が度々夢に出てきてはキスしたり、手を握ったり、またまたキスしたりするもんだから、気になってなかったのに段々と気になってしょうがない。
もう医者は恋愛対象には見ないって決めてるのに、このままだと気が付いたら…って状況に陥りそうでヤバい。
ふるふると頭を振って、ようやくベッドから這い出す。
職場から近いだけが取り柄の1LDK。
病院の看護師寮となっているアパートももちろんあるけれど、職員しか住んでいないような窮屈な空間は三十歳を過ぎてくると拷問でしかなくなる。
だって同じフロアの人が、「あ、今日は日勤なんだな」とか「今から夜勤なんだな」とか、わかってしまうのって正直めんどくさい。
それでここに引っ越してきて早十年。
結婚している同期なんかはもう三十五年ローンの三分の一くらいは払い終わっている頃。
独身だったとしても看護師の給料をもらい続けて十五年以上も経っていると、ちらほらマンション購入の話も聞こえてくる。
そろそろ考えなきゃなと思っても、やっぱり心のどこかで諦めきれてない結婚が、二の足を踏ますわけで。