だから、恋なんて。

脇に逸らされた視線に言い過ぎたことを悟る。

「…ごめん。そんな意味じゃなくて」

「じゃあさ、美咲さんにはどんな悩みがあるの。自信なんか持てなくなって、歳を取らせちゃうくらいの悩みなんだろ?」

「それは…」

そんなこといきなり言われても。

色々考えることはあるけれど、そんなの総合的にみると大きな悩みであって、胸を張って言えるようなことでもない。

それに赤の他人に毛が生えたくらいの人に、悩みを易々と打ち明けられるほど若くない。

言いよどむ私を意地悪気な瞳が馬鹿にしたように見つめる。

「ないの?」

「あるわよ」

「じゃあ言ってみてよ」

どうだ、言えないだろって言われているような気がして。

「例えば…友達を助けたいのに原因がわからない…とか」

喉のつっかえが取れるように、楽に口から零れた。

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