だから、恋なんて。
今日の相棒は青見先生を狙ってる高橋さん、ではない。
もっと新人の若いナースで、さっき休憩に入ったばかりだから、そうそう出てきそうにはなくて。
助け舟が来そうにないので、仕方なく聞こえなかったふりをして。
「…お疲れ様でした」
軽く頭を下げてその場を離れようとするのに。
チラッと横目でうかがうと、ぶつかった射るような視線に張り付けられたように動けない。
注がれる青見先生の視線は冷たいのに、見つめられているこっちはジリジリと焦げるように熱くなる。
こんな時に限っていつもは鳴り響くアラームもナースコールも静かなままで。
かぁっと逆上せるように頬が熱くなるのがわかって、慌てて顔を逸らすと。
不意に、デスクに乗せていた左手をつかまれる。