だから、恋なんて。
用意がいい榊は、デザート串とジェラートなんかを頼んでくれていて、それを食べながら疑問だったことをポソッと口にする。
「…青見先生と仲よかったんだ?」
だって仕事以外で榊が医者たちと交わる機会なんて見たことなくて、しかもチャラ医者じゃなくてあの青見先生がいつもの表情を崩して笑ってる相手なんて知らないし…。
「逆です、逆。お互い嫌な相手っていうだけです」
心外とでも言うように語気荒く言い放つ。
「そうかな?でも、榊が嫌いっていう相手も珍しいんじゃない?」
基本他人に興味のなさそうな榊は、職場ではなおさらどんな相手だろうと仕事だからと割り切って付き合っていると思うけど。
「うちに来る前からちょっと知ってるんですよ」
面白くないことを思い出したように顔をしかめる。
普通にしてたら綺麗な顔してるのに……榊って、ほんとに自分の見かけに無頓着。
元々作りのいい人ってあれこれコンプレックスがないからか、自分をより綺麗に見せようって気持ちが薄いんだろうね。