だから、恋なんて。

そんなことを思いながら榊の横顔を見ていたら、続きを催促されてると思ったのかポツポツと話し出す。

「友達があの男のことを好きだったんですよ。あんな何考えてるかわからない適当オトコを」

まぁ、青見先生ならどこでもモテるだろうし。うんうんと頷いて聞いていると、勝手に沸々と苛立ってきたような榊の食べるスピードもアップする。

「遊べるオンナにだけいい顔して、飽きたらポイっていうサイテーなオトコです」

「えぇっ?」

「飽きたらっていうか、最初から興味も執着もないんでしょうけど」

「…それって青見先生のことだよね?」

「…話聞いてました?最初からずっとあの人の話ですけど」

「いや、聞いてたよ?でも、なんか思ってた人とギャップがあるっていうか…そんな風にみえないっていうか…」

チャラ医者なら頷けるけど、あの青見先生が飽きたらポイの適当オトコだとは思えない。

第一、そんなにポイポイしてるならうちの病院でだって噂になっているはずだし。

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