だから、恋なんて。
はぁ~っと思わず漏れたため息に榊が反応する。
「そんなショックでした?別に好きじゃなかったですよね、あの人のことは」
「いや、好きとか嫌いとかじゃなくてさ」
「?……あ、でも基本タイプの人しか相手にしないと思いますよ。だから、美咲さんも看護師じゃなかったらあの人の相手になってたと思いますけど」
「……それって喜んだらいいの?」
榊の変な慰めを受けながら、取りあえず目の前にあるものをポソポソとつまんでいるうちにそろそろ一次会の終了時間も近づいた。
ウーロンハイを飲み続けた榊を置いといて、店員さんを呼んでさっさと会計をする。
一次会終了の声をかけると「え~」なんて野太い声があがって、視線をやるとぐでんぐでんに酔っ払った師長が目に入る。
その他も奥のテーブルではいい感じになってる医者と看護師がいたり、すでに寝ちゃっておばさまナースの膝枕でいい夢をみてる研修医もいたりする。