だから、恋なんて。

テーブルに肘をついて小首を傾げた頬杖のままこっちをジッと見つめる瞳。

どれくらい飲んだのか知らないけど、うっすら頬が上気しててこっちを見ている瞳もわずかに潤んで見える。

チャラ男のくせに、なんだかわからない色気を出していて、ドキドキと胸が騒ぎだす。

「あ、っそ」

上擦る声を悟られないように短く返事をして、当初の目的通り忘れ物をチェックするためにテーブルの下や座布団の下をのぞき込む。

待っていてくれたことを素直に嬉しいなんて言えるはずもなくて、年甲斐もなく照れた顔を見られないように必死で熱中しているフリをする。

と、いうか、この後どうしたらいいのかもわからない。

別に、「ありがと、じゃ行こうか」って言えばいいだけのこと。

歳なんか関係なくて、むしろ歳くってたほうがそのくらい簡単にできるでしょって思うこと…なんだけど。

アイツ相手だと中学生の初恋みたいにぎこちなくなっちゃって、やりにくいことこの上ない。

< 251 / 365 >

この作品をシェア

pagetop