だから、恋なんて。

「う~ん……美咲さんはさ、医者っていう肩書に関してすごく理解をしてくれてると思うよ。そこがとても有難いところだとは思ってる」

そりゃあ、一番身近で仕事をする職種ですから、理解してるっていうか、知ってることは多い。

隣の医者が何を言いたいのかわからずに、視線を伏せて歩く。

コツコツとお互いの靴音だけがやけに響いて、ふと視線を上げると、チャラ医者は少し切なそうに目を細めて私を上から見下ろしていた。

「な、に」

何かいつもとは違う空気感に、口の中が一気に水分を失って喋りにくい。

「でも、どいつもこいつも一まとめにされるのは心外だな」

「え……」

口元に笑みはうかべているけれど、つられてこっちまでは笑っていけないような、そんな張り付いたような笑顔に目を奪われて。


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