だから、恋なんて。
要するに、私はきっと、この感情にちゃんとした理由が欲しいんだと思う。
いくら恋愛最前線から遠ざかっていたって、先に理由があって人を好きになるもんじゃないとわかっているつもり。
なんでだかわからないけど気になって、惹かれて、知らないうちに好きになってる。
そんなもんなんだとわかってはいるのに。
この気持ちを認めたら次はもっともっとと深まる欲望と、どうやってつきあっていくべきか。
そして同じように膨れ上がる、もし裏切られたら、という恐怖とどうやって折り合いをつけたらいいのか。
ふと視線を上げて時計を見ると、今日の日付が終わりそうになっていて。
急にバカらしくなって、一向に乾かない濡れたロングの髪を、ドライヤーで乾かすために洗面所に向かった。