だから、恋なんて。
「それ言うなら千鶴だって四十路でしょ?独身気分で千鶴が聞いたっていいよ?」
「だって四十路会だもん、みんな四十路じゃない。こうなったら雫がいく?」
「いや、私はまだ三十五ですから」
「な~に言ってんのよ。四捨五入したら四十じゃない、一緒よ一緒」
どうして女にとって年齢というものが絶えず付きまとうんだろう。
二十歳の頃は、やっと胸張って言えるぞ!って嬉しかったはずなのに。
人生四十年も女をやってくると、なんだか一人でも多く仲間に引き入れたくなるようだ。
五つも下の雫も、まんまと会員にされてしまっている。
結局、これが最後の一本と千鶴好みの白ワインとチーズ・プラトーを注文した。
私、乙部 美咲(おとべ みさき)は本日めでたく四十歳の誕生日を迎えたわけで。
月に一度、それぞれの勤務の都合を合わせて開かれる『四十路会』は、もう一年ほどまえから定期的に開催されている。
確か最初は『四十に抗う会』とかだったのが、四月生まれの千鶴が四十路になった途端、『四十路会』に改名された。
なんて勝手なやつ…。