だから、恋なんて。
ICUに戻ると、朝とはうって変わってなんだかバタバタと騒がしく、本来の様子を取りしていた。
たいていの日は自分の受け持ちだけで精いっぱいの慌ただしいところ。
私と榊の姿を認めたICUの師長が手招きしながら指示をだす。
「もう脳外のオペ帰ってくるぞ。乙部は心臓外科、榊は脳外な」
心臓外科と聞いて、またもや青見先生の顔が浮かぶ。
青見先生は循環器内科だけど、心臓とくればほとんどの患者さんを結局は任されている。
それだけ有能できちんと管理ができるってことなんだろうけど…。
よりにもよって今日の受け持ち二人とも青見先生の担当だなんて、ほんとついてない。
それでも、さっき食堂に青見先生はいたんだから、まだまだそっちのオペは帰ってきそうにない。