だから、恋なんて。
それでも、荷物を置くために休憩室に入るなり、壊れるくらいの強さでドアを閉められて、えらく神妙な顔をした榊に詰め寄られる心当りなんて……ない、はず。
「…私、なにかミスってた?」
「そうじゃないんです……あ~、昨日の時点でわかってたら絶対に勤務替わってたんですけど」
「なんの話?」
どうやら、重大なミスをしていたわけではないらしい。
買ってきたものを冷蔵庫に入れながらも少し安心する。
「………今日の当直、知ってます?」
らしくない言い方に振り返って榊の顔をうかがう。
急変があったって表情を変えずに処置に当たれる榊の顔が、気に入らないとでもいうように曇っていて、良くない報せだということはわかった。