だから、恋なんて。

そうしてイライラとしながらパソコンに向かっていると、最悪のタイミングであの能天気な声が聞こえてきた。

「おはようございまーす。あ、オーダーね、しておきます。はい、それも記録みたんで、また指示だしておきます。……美咲さん?おはよう?ん?」

日勤のスタッフににこやかに笑いかけて近づいて、よりにもよって隣のパソコンを開く。

できることなら一言も話す前に自分をクールダウンさせたかった。

じゃないと、絶対何を言っても嫌な言い方になるに決まってる。

それでもさすがに社会人として挨拶を無視するわけにもいかず、視線は伏せたままで挨拶しながら会釈を返す。

いやだな、こんな態度。

何かあったって丸わかり、気にしてほしいって自分でアピールしているみたい。

そんな子供じみたことをしたくないのに、どうしても心と身体が一緒に動いてくれない。


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