だから、恋なんて。
周りからは失笑と、どうやら先輩の医師から「こら、ふざけるなよ」なんて苦笑交じりの注意が飛んでいたけれど、私としては眉をひそめるしかない。
たまにこういうドクターがいる。
適度に整った顔をしていて、背は低くなく、要領が良くて、看護師にも患者さんにも人気がある。
こういうタイプのドクターはどちらかというと苦手。
同じ仕事をするならこういうドクターよりも青見先生のような必要以外のことは話さないドクターのほうがやり易い。
挨拶を終えて、またぞろぞろと出ていくドクター達の背中を見送る。
最後にあの軽いドクターが出ていく間際、軽く振り返って、また視線が合う。
なに?なんでこっち見てるの。
もしかして…嫌な予感が頭をかすめるけど、あのドクターはだいぶ若くみえたから、そんなはずはないと打ち消して、業務に意識を移した。