だから、恋なんて。
「えっと…」
「あぁ、すみません。オペ後の山本さんです」
山本さんは今休憩に入っている子の担当だったけど、さっき私がバイタルチェックした時には状態は落ち着いていたはず。
「あ、大丈夫です」
「そうですか、よかった」
電子カルテをチェックする青見先生。
なんとなくだけど、少し機嫌が良さそうに見えて、それほど居心地は悪くなくて。
「こんな時間に珍しいですね」
顔は合わせずに話しかけてみる。
避けて嫌がられたことを少しでも挽回しないといけないかと思ったりして。
話が弾むとこまでは頑張らなくてもいいし。とりあえず避けてないってことをアピールしなくちゃね。
確かに声に出して言ったはずなのに、隣からはいっこうに返事が聞こえてこない。