だから、恋なんて。

もしかしたらほんの数秒のことなのかもしれないけれど、もう何十分も経ったような気がするくらい果てない時間だった。

もういよいよ限界……というところで、タイミングよく彼女の声が聞こえる。

「あれっ?青見先生!どうしたんですか、こんな時間に」

背後から近づいてくる休憩に入ってた彼女の声に、心底助かったと軽く溜息がでる。

そういえば、この彼女は青見先生を狙っているはずで、前も彼女が現れて助かったはず。

もうなんだか、これ幸いにと一目散に逃げだしたい気分にもなる。

「美咲さん、お先でした~。私、替わります」

どうやら彼女も私を除け者にしたいようで、デスクの横に立つと、早く行ってと言わんばかりに無言の圧力をかける。

「うん、そうさせてもらう。私のほうはもうバイタル取ったから」

言いながら開いたままのパソコン画面からログアウトして、椅子から立ち上がる。

それと同時に、隣で順番待ちのように立っていた彼女、高橋さんは青見先生のほうに向かいながら嬉しそうに話しかけている。

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