だから、恋なんて。
結局一睡もせずに、朝食がわりの大豆飲料とヨーグルトだけを口にして休憩室を出る。
出だしが忙しかったから勤務終わりまで体が、というか意識がもつだろうかと心配したりもしたけれど、意識なんて失う間もなく起床にむけての様々な処置に追われて、あっという間に日勤者への申し送りを終える。
「美咲さん、お先に失礼します」
最後のカルテチェックをしていると、高橋さんが軽く頭を下げながら通り過ぎていく。
「はい、お疲れ様でした」
すごいね、今の子達は。別にダメだっていってるわけじゃないよ、ホントに。
ただ私があれくらいの時は、いくら自分の仕事が終わっていても、先輩よりなかなか先に帰る勇気なんてなかったからね。
かといって先輩の仕事で手伝えることも少ないし、声をかけるのも怖かったからなぁ。
あ、というか、私が怖がられる存在じゃないってことなのか。
結局はそこにいきついて、妙に納得しながら残務整理に励む。