ドライアイス
「ヒナ、おはよっ」

右肩に強烈なアタックをかましてきたのは、先程リュウと腕を組んで歩いていた友達の由梨だ。

「おはよう、由梨」

笑顔が引きつっていないか、心配。
リュウと、付き合ってるんだよね?
そんなこと、聞けるわけがない。

由梨は、黒髪で一見おとなしそうにも見えるけど、よく合コンに参加しているから、きっと遊ぶことが好きなのだろう。
ギャルというようなルックスではないけれど、言葉遣いや行動はギャルそのものだ。

「ヒナ、どうしたの?元気ないみたいだけど?」

「そんなことないよ、元気だから大丈夫!」

「そう?元気なら、いいんだけど」

由梨は素直で羨ましい。
私は自分の気持ちに素直になんてなれない。
リュウに対する気持ちもしまったまま。
リュウに告げることなど、一生ないのかもしれない。

本当は、素直になって告白したい。

「出会った日から、リュウに惹かれていました。気付いたら、恋をしていました」

リュウの答えは素っ気ないだろう。
もしかすると、答えてさえくれないかもしれない。
そんな想像をめぐらせては、リュウへの想いを1人で押し込めているの。
本当は伝えたいのに。
本当は結ばれたいのに。
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