Heaven
そして今宵も、この結界の中を逃げ惑う少女が一人。

遅くまで校内に残って友人とお喋りに興じているうちに、辺りはすっかり暗くなっていた。

友人が先に帰宅し、続いて彼女も下校しようとした時に『それ』は現れた。

地に届く程の長い黒髪の三つ編みに、一昔前のセーラー服を着た、外見は地味な女子高生。

この学園の指定の制服はブレザーなのに。

他校の生徒かとも思ったが、様子がおかしい。

彼女…蠍矢 狂子(さそりや くるこ)は言う。

「美味しそうね、貴女」

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