Heaven
狂子の額に、縦に傷が走った。

それを切っ掛けに、彼女の皮膚が裂ける。

生皮を裂く生々しい音。

まるで狂子自身が真っ二つになるような。

そんな光景の中、血飛沫と共に現れたのは巨大な蠍。

赤黒い甲殻、巨大な一対の鋏、長く太い尾の先端には、滴るほどの大量の毒を分泌する針が備えられている。

「やはり女である前に魔物だな…」

その異形を見ても、表情一つ変えないヘヴン。

< 25 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop