Heaven
「くそっ!くそっ!」

苛立ちを露わにする蠍。

「いいじゃない!人間なんて腐るほどこの世界に存在するんだ!アタシがその中の小娘を一人や二人食ったからって、何の問題があるのさ!」

「……」

最早語る口は持たない。

彼女らに聖書の一節が理解できないように、ヘヴンも魔物然とした彼女らの考えは察しかねる。

ただ、祓魔師たる彼は聖痕を握り締めた右拳を蠍の甲殻に叩きつけ、こう唱えるのだ。

「神のご加護がありますよう」

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