Heaven
光を浴びた猫又の毛が、煙を上げて燻る!

「ぎゃあぁあぁあっ!」

その苦痛に呻き声を上げる猫又。

思わず飛び退き、カタリナから距離を置く。

「何だよ、神の使徒だの修道女だの言っても、結局僕を殺すんじゃないか!」

人間など皆同じだと。

猫又は憎悪のこもった黄色い瞳でカタリナを睨む。

「……」

逡巡する。

決して猫だった彼に罪はない。

罪業ならば、勿論飼い主にある。

だが憎悪に駆られ、人間を襲った時点で彼にも罪は発生した。

憐れな存在である事は分かっている。

しかし修道女として、祓魔師として、この猫又を許す訳にはいかない。

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