Heaven
午前2時。

ロンドン塔は静寂に包まれている。

何も起こらず、また誰も現れず。

辛抱強いヘヴンでさえ、そろそろ切り上げて帰ろうかと思っていた時だった。

「神に仕える者とて人の子」

そんな声が聞こえ、ヘヴンは思わず振り向く。

…ようやく視認が可能な2メートルほど先。

人影が見えた。

背格好からして男性。

声から察するに若い青年だろうか。

声は続ける。

「いや…貴方は違うか…正真正銘『神の子』…いや人ですらないか…」

嘲笑うように青年は言う。

「魔を討伐する為だけに人々に利用され続ける『生きた霊装』」

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