Heaven
『生きた霊装』

その言葉が僅かばかりにヘヴンの胸を穿つ。

「傷つくのかい?人の世を神の加護と共に守護する為に、聖痕を以って務めを果たす貴方が…『ただの魔物殺しの道具』扱いされる事に不満があると?」

「…何者だ」

囁きに耳を貸さず、ヘヴンは問いかける。

しかし青年は質問には答えない。

「実の所、人々は貴方の事を崇めても有り難がってもいないのかもしれない…『奇跡の子』だ『唯一神と同一の存在』だと持て囃してはいても…それは貴方を体よく利用する為の詭弁」

「何者かと聞いている」

「同じカトリックやプロテスタント教徒でさえ貴方の事を殺し屋のように使って魔物を始末する…もしかしたら…」

霧の向こうで、青年はククッと笑った。

「貴方が心酔しているローマ教皇でさえ、もしかしたら貴方の事を…」

「言うな!」

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