Heaven
気がつけばヘヴンは走り出していた。

ここまで愚弄する相手の顔を、何とか拝んでやりたい。

だがたった2メートルほど先だというのに、追いつく前にその青年は姿を消す。

そして気付けば。

「その白髪のように、心までは純白とはいかないようだね」

また2メートルほど先で、輪郭のみを見せて語る青年。

「貴方とて本当は気付いている…利用されるだけの魔術的兵器の自分の存在に疑問を抱いている」

「黙らないか」

「訳の分からない痣だか傷だかが手足にあるだけで、何故人並みの生活を剥奪されなければならないのか」

「黙れと言っている」

「兵器なのだよ貴方は。穢れた魔物を殺す為の兵器。大量に殺傷するだけの…人間が造り上げた核兵器と何ら変わりない」

「黙れ!」

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