Heaven
追う。

追いかける。

呼吸が乱れるほどに走るヘヴン。

しかし青年には追いつけない。

何処まで走っても、影を追いかけるが如し。

やがてロンドン塔を離れ、テムズ川のほとりにまでやって来る。

…青年の姿はない。

肩で呼吸をしながら周囲を見回すヘヴン。

「ムキになるという事は、それとなく貴方にも自覚があるという事か」

また背後で声がした。

「誰も信じず、誰も愛さず、神の為にと己を偽って魔物を殺し続ける…愛するのは神だけ…いや…」

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