軌跡。
あたしの学校は、普通の学校と違う。

病弱児童のための、病弱専門家による、学校なのだ。

おかげで人数も少ない。
人と接するのが苦手なあたしには、ありがたい学校かも?

あたしは…入学もしていない。
進級もしていない。

だから、入学式から2日後の4月9日に、久しぶりにスクールバスに乗った。

「…………。」
「…………。」

沈黙が続く。こういうの大嫌い。
どうせ、みんなは、あたしより学年が上だから…。

年下のくせに、いきがるんでしょ?
アホくさ…挨拶なんてしない。

…ガヤガヤ
ピコピコ……

ほら?もうみんな、あたしなんて、いない空気じゃない。

笑い声。
修学旅行の話。
芸能人の話。

昨年次までは、あの中に入っていたのに。

だから…友達なんて要らない。
平気で裏切るからね。

元担任教師も…。

昇降口前、到着。
あたしは、病気の後遺症による過呼吸を少し起こしていた。

スクールバスの先生が心配する。
担当者、変わったんだっけ?

「鈴ちゃん…大丈夫?」
「平気です…。歩けますから!」

医者による運動制限で、走れない。
ゆっくり…ゆっくりと、歩く。

あたしのペースで、歩く。


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