春の桜は色鮮やかに=独眼竜の妻・愛姫=
愛姫の一言に、政宗の目が見開かれる。


政宗はこれまで、彼女ほどに素直な女を見たことがなかった。

母にも女中たちにもない、女性の強さを見た。




「・・・お前は、敵方の男を守るというのか」

「はい。夫婦ですもの」

「何故、そこまで信じることができる」

「夫を疑う妻などに私はなりたくありませぬ」

「・・・そうか」



政宗の心には、愛姫に対する興味が尽きることなく湧いてきた。

同時に、この小さな妻に対する愛情も芽生え始めていた。





結局、その夜二人の間に何が起こったわけでもなく。

そのまま、新婚二日目の朝を迎えたのであった。



しきりに夜の出来事を聞いてくるたきに、愛姫は答えようもなくただ笑うしかなかった。
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