春の桜は色鮮やかに=独眼竜の妻・愛姫=
輿入れ
愛姫が米沢城に向け出発したのは、翌年二月のことだった。
しんしんと雪を踏む音だけが、駕籠の中に聴こえてくる。
体が一層冷えた気がして、愛姫は打掛をぎゅうと握った。
出発前、清顕から伝えられたのはごくわずかなことだけだった。
「愛姫。伊達との縁談、正式に承諾すると書状を出した。もう後には引けぬぞ」
「心得ております」
「相手の名は、伊達藤次郎政宗。輝宗公がご嫡男だ、失礼のないようにな」
「はい」
政宗とやらは、自分より一つ年上と聞いていた愛姫だが、とんだ破天荒との噂も女中たちから流れてきていた。
しっかりせねば、どんなことをしでかされるか分からない。
愛姫は、気が引き締まる思いで姿勢を正した。
米沢城は、もうすぐだ。
しんしんと雪を踏む音だけが、駕籠の中に聴こえてくる。
体が一層冷えた気がして、愛姫は打掛をぎゅうと握った。
出発前、清顕から伝えられたのはごくわずかなことだけだった。
「愛姫。伊達との縁談、正式に承諾すると書状を出した。もう後には引けぬぞ」
「心得ております」
「相手の名は、伊達藤次郎政宗。輝宗公がご嫡男だ、失礼のないようにな」
「はい」
政宗とやらは、自分より一つ年上と聞いていた愛姫だが、とんだ破天荒との噂も女中たちから流れてきていた。
しっかりせねば、どんなことをしでかされるか分からない。
愛姫は、気が引き締まる思いで姿勢を正した。
米沢城は、もうすぐだ。