春の桜は色鮮やかに=独眼竜の妻・愛姫=
普通は駕籠に乗せられたまま、城内三の間まで担ぎいれられるのが習慣だが、愛姫は自分の足で米沢城に踏み入った。
これから住む城なのだからわざわざ駕籠に乗る必要はないという、愛姫の思いによるものである。
愛姫が着るには大きすぎるほどの桃色の打掛の裾が、廊下の板にこすれて音を立てる。
愛姫の後ろを歩く景綱には、まるで打掛が歩いているようで、とても可愛らしく見えた。
(このように愛らしい方をお迎えできるとは、政宗様は何と幸せ者なのだろう)
“愛姫”、その名にふさわしい可憐な少女を手に入れた主君に、景綱も思わず嫉妬する。
それほどまでに、彼女は美しかったのだ。
これから住む城なのだからわざわざ駕籠に乗る必要はないという、愛姫の思いによるものである。
愛姫が着るには大きすぎるほどの桃色の打掛の裾が、廊下の板にこすれて音を立てる。
愛姫の後ろを歩く景綱には、まるで打掛が歩いているようで、とても可愛らしく見えた。
(このように愛らしい方をお迎えできるとは、政宗様は何と幸せ者なのだろう)
“愛姫”、その名にふさわしい可憐な少女を手に入れた主君に、景綱も思わず嫉妬する。
それほどまでに、彼女は美しかったのだ。