-浅葱-新選組異聞



「そん着物はなんぜよ?」


無遠慮に七瀬の上着を摘みあげる男の手を七瀬は振り払う
怪しすぎることこの上ない


それを男は気にしたようすもない
ただ、七瀬の反応をキョトンと見ていた
御草はおずおずと訪ねる


「あなたは……」

「わしか?」
「梅太郎さん!!」


突然、焦ったような声がかけられる
梅太郎、と呼ばれて男は振り返った


「何をしているんです!こんなところで!」

「いや、面白い子供がおったきに」


七瀬と御草はただ見ている事しかできない
2人の男はやはり着物を着ている
1人は髷を結、梅太郎という男は癖のある長い髪を一纏めにしていた


そして、腰には二本の刀をさしている


「……浅葱、アレ」

「……あぁ、本物か?」


嫌な予感が背筋をはい上がる
危険だ


七瀬は御草に小さく耳打ちする


「走るぞ」

「うん」


不安げに、けれどしっかりと御草はうなずく


「わかっちょるきに!すぐ行くぜよ」


その前に子供達に色々と話しを聞き出そうとしていた梅太郎はあっと声を上げる





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