-浅葱-新選組異聞
土方はカチッと、刀を抜いて静かに七瀬に突き付けた
「お前の名は?何処から来た?」
さっそく脅しにかかる土方にため息をついた近藤は頭を抱えた
「歳……子供相手に!」
「だから甘いって言ってんだ。こんな奇妙な着物を来てるってだけで十分怪しいんだよ」
「でも土方さんは強引だと思うなぁ」
「てめぇは黙ってろ」
土方は刀を構えたまま膝をついて毛糸の上着を持ち上げた
七瀬が着ていた上着だ
よく見れば、七瀬は薄い着物を着ていた
「ぼっ僕達は怪しくは……」
ないです、と御草は言ったが語尾は力なく消える
「余計な事は言うな。聞いた事にだけ答えろ」
鋭い詰問に汗を流した御草はポツポツと言った
「僕は……御草夜嗣です。こっちは七瀬浅葱……」
「それで?」
七瀬と御草は沈黙した
なんと答えれば良いだろう?
黙する2人に苛立ったように土方が片眉を上げる
視線を彷徨わせていた御草が思い余って一気に言った
「僕らは……!未来から来たんです!」