-浅葱-新選組異聞
「あぁ、おはようございます」
井戸の前で顔を洗っていた沖田総司がへらりと笑う
「おはようございます」
御草と七瀬は頭を下げた
朝の支度で井戸の周りに集まっていた男たちが物珍しげに2人に視線を向けた
「おっ?なんだ」
「見ない顔だな」
「沖田さんは知ってるのか?」
皆、時代劇で見るような侍のような出立ちだ
沖田は楽しげに笑った
「皆さんにはまだ紹介してませんでしたね。新しく入隊した七瀬さんと御草さんです」
「入隊!?まだガキじゃねえか」
随分と大柄な男が興味深く顔を覗き込んでくる
歯を磨くための棒を咥えたまま、しげしげと2人を見つめてニヤリと笑う
「可愛い顔してるが、それで刀が扱えんのか?」
「原田さんからかってると痛い目にあいますよぉ。昨日の浪人を斬ったのは七瀬さんなんだから」
「本当かよ総司!?」
感心したよう原田は驚く
その原田の脇から顔を拭った男が顔を出す
「そりゃすごいな。今日の稽古が楽しみだ。名は何ていうんだ?」
無精髭を生やした男が言ってハッとしたように御草が頭を下げる