-浅葱-新選組異聞



七瀬と御草は一番隊に配属された


近藤の計らいで着物を与えられた2人はそれを着ていた
トレーナーやズボンはこの時代では目立ちすぎる


「本当に変な着物ですねぇ」


着物を持ってきた沖田は2人の着ていた服を摘みあげて珍しそうに見ていた


「でも七瀬さんの着物はもう着れそうにないですね。血まみれだ」

「別にかまいませんよ」


2人とも剣道の道着を着慣れていたこともあり、何とか着物を身に付けることができた


「あの……沖田さん」

「なんですか?」


御草は着物を着終えると沖田に尋ねた


「今は何年の何月なんでしょうか?」


新選組が幕末に活躍したのはわかっている
しかし、2人は今の正確な時間を知らない
まずは帰るために正確な状況を知るべきだろう


「あぁ、えぇっと……今は元治元年の2月末です」


御草と七瀬は視線を交わす
新選組は有名でも細かな出来事は曖昧だ


「池田屋事件はもうあっ……ムグ!?」


七瀬が、おそらく新選組で最も有名な事件の事を口にしようとして御草に口を塞がれた






< 26 / 30 >

この作品をシェア

pagetop