-浅葱-新選組異聞
「浅葱!無闇に言っちゃダメだよ」
「ん……なんでだよ」
沖田は別段気にした様子もなく七瀬たちの持ち物を眺めている
御草が声を落とした
「昨日は仕方なかったけど……変にこれからあるかもしれないことを言ったらまずいと思う……」
「……お前が最初に言いだしたんだぞ?」
「うっ……ごめん、でも」
歴史を自分たちの言葉で歪めてしまうのではないか、そう思うと薄ら寒い悪寒がする
「夜嗣……歴史はそう簡単には変わらないのじゃないか?」
「……どういう意味?」
七瀬は至極冷静に言った
「状況が突飛すぎる。タイムスリップなんてありえないけど、今実際に起こってる。歴史にとって俺たちは異物かもしれない。けどそうとも言いきれない」
「……僕らが何をしても歴史に変化はないってこと?」
頷いた七瀬は何故か確信めいた言い方をする
それに戸惑いをおぼえ、納得することが出来ない
肩をすくめた七瀬は御草に折れる
「わかったよ。なるべく余計なことは言わない」
「……ごめん」
元はといえば御草が未来から来たと言ってしまったせいだ
折れてくれた七瀬に申し訳なさが募る